漫画

戦争の犠牲になった上野動物園の27頭の動物たち

ぼくの動物園日記「27頭のあいつたち」

ぼくの動物園日記とは

ぼくの動物園日記は、1972年秋からおよそ2年間ジャンプで連載されていた漫画です。

舞台は東京上野動物園。

主人公西山としおは、かけだしの新米の飼育係。

当時上野動物園でカバ園長のあだ名で有名だった西山園長の若かった頃がモデルです。

その西山園長の愛情こもった動物たちの飼育の物語を漫画化した作品です。

第47話「27頭のあいつたち」の巻

当時のジャンプは(今もそうかもしれませんが)終戦の8月になると、各先生たちが戦争をテーマにした話を描かれました。

このころはまだ実際に戦争を経験された作家さんたちが多かったからだろう思います。

かわいそうなぞう あらすじ

むかし日本とアメリカは戦争をしていた時のお話です。

動物園にはたくさんの猛獣がいました。

もしアメリカ軍の空襲でおりが壊され猛獣たちが逃げ出したら危険です。

そこで軍部から猛獣たちを殺処分するように命令が出ました。

飼育係の人たちはやむを得ず、毒の入った餌で動物たちを殺処分していきました。

しかし象だけが毒に気がつき、餌を食べようとしませんでした。

しょうがないので毒を注射しようとしましたが、像の分厚いからだには注射針が通りません。

そこで餌を与えず、餓死させることになりました。

そして17日目にジョンが死にました。

残った2頭もお腹を空かせてやせ細っていきました。

象は餌が欲しく、飼育係の人を見ると芸をするのです。

以前は芸をすると餌がもらえたからです。

しかしその2頭トンキーとワンリーもとうとう最後は亡くなってしましました。

「かわいそうなぞう」は戦争中に本当にあった悲しい話をもとにした名作絵本で、児童文学作家、土家由岐雄による童話です。

人だけでなく、動物たちもまた戦争の犠牲者となったお話です。

実話に基づいた有名な絵本で、これはいろんな漫画やドラマの原作原案にもなっています。

今回紹介した「27頭のあいつたち」や、ドラえもんの映画「ぞうとおじさん」もそうです。

実際に私はこの絵本を読んだことはなく、ゾウの話もジャンプの「ぼくの動物園日記」で読みました。

この回は実際に上野動物園の西山さんや吉岡さん、そしてゾウの飼育係だった菅原さんらにも取材していたのでしょう。

絵本や他の漫画や映画では描かれていないエピソードや、他の動物が殺されるシーンも描かれています。

昭和18年の夏、太平洋戦争の真っ只中。

万が一の東京空襲で動物隊が逃げ出した場合に備え、上野動物園で飼育されている動物たちを殺処分しろという命令が軍より下されたのです。

動物の処分命令

殺処分の順番はくじ引きで決められました。

最初に殺されることになったのはクマのドン。

飼育係が自らの手でドンに餌をやります。

最初ドンは何か違和感を感じて警戒しますが、信じて餌を口にします。

そして

しかし動物たちの殺処分はまだまだ続きます。

毒で死にきれなかったヒグマを8人がかりで1時間かけてしめ殺します。

ベテラン飼育係の篠原さんはこっそりニシキヘビを家に連れ帰ろうとしますが、途中で軍に見つかってしまいます。

その場でころされることになったニシキヘビを「わしが介錯する!」と言って自ら軍刀で首を切り落とします。

実際にニシキヘビは毒殺ではなく刃物で殺されたそうです

そしてとうとうゾウの番がやってきます。

しかし勘のするどいゾウたちは異変に気づき、餌を食べないのです。

ならばと毒を注射しようとするのですが、ゾウの厚い皮に阻まれ注射針が通らない。

結局、ゾウたちは餌も水も与えずに餓死させるしかないとなったのです。

ゾウの飼育係の菅原さんは

「餓死なんて一番残酷な殺し方じゃないですか!」

と泣きながら訴えるもどうしようもない。

そこで新人の井上くんが良いアイデアを思い付きます。

動物を疎開させる

この手があったか!

このアイデアを出した後、井上くんは出兵していきます。

このあいだに菅原さんは家からこっそり家族の配給の芋を餌として与え、ゾウたちの延命を図ります。

しかし1頭目のジョンが餓死

1頭目ジョン死亡

しかもこのあとゾウの疎開計画は軍の許可が降りずに結局中止になります。

園長はこのあまりの残念な知らせを菅原さん言うことができませんでした。

そしてそこに追い打ちをかけるように井上くんが戦死したという訃報も。

そして動物たちは全頭処分が済み、動物たちのお葬式が執り行われていました。

しかし実際には二頭のゾウはまだ生き残っていましたが、それは秘密にされていました。

この時まだ実はゾウだけでなくヒョウも一頭生き残っていた。

その裏でゾウたちは飼育係の菅原さんを見ると芸を始めるのです。

この時になってもまだ菅原さんにはゾウの疎開計画が中止になったことが知らされていませんでした。

もうこれ以上待てない!

このままだと最後に残ったトンキーまで死んでしまう……

そしてその日にとうとう最後にのこったトンキーも……トンキーもしんだ

犠牲になった27頭たちへ

子どものころ、この話をジャンプで読んだとき、私は悲しさのあまり号泣して……

と言いたいところですが、正直何も思いませんでした。

「ふーーーん、そうなんや」とだけでした。

悲しくもなにも感じなかったのです。

だって戦争なんて私が生まれる20年以上前に終わっているのです。

小学生からすれば大昔の話なのです。

ましてや動物が殺されたといわれても

「そんなん知らんがな」

なのです。

でもこれは言い方を変えれば、わたしは平和が当たり前の時代に生まれ、食べるものに困らない豊かな国で育っていたからです。

本当に平和だったら「平和がいいねえ」なんて思わない、そんなこと考えもしない。

いや、ほんとにそうなんですよ。

ところが子どもの頃は何も感じなかったのに、今回「27頭のあいつたち」を読みかえして多くのことが込み上げてきました。

会ったこともない大昔の動物たちの悲劇、そして戦争への怒り。

これって私が大人になったからでしょうか。

いや歳をとってジジイになったのかもしれません。

この動物たちも、いくら非常時とはいえ殺す必要があったのでしょうか。

疎開させることもできなかったとありますが、そんなもんどうにでもなったと思います。

この国はむかしから非常時になるとやることが極端すぎるのです。

27頭の動物たちに合掌。

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