原作やアニメにはなかった設定が盛り込まれている桜多吾作版マジンガーシリーズ。
マジンガーZ編、グレートマジンガー編、ともに子ども向け漫画雑誌で連載されていたとは思えない、大人たちの裏切りと欺瞞をちりばめたストーリーでした。
グレンダイザー編はこの桜多吾作版マジンガー三部作の最終章であり、完結編にふさわしく、敵だけでなく正義の味方側までが裏切りと信頼関係ゼロの物語になっています。
【主人公側】デュークフリードと仲間たち
主人公デュークフリード(宇門大介)
もともとはフリード星の王子・デュークフリードですが、地球の亡命して地球人宇門大介として生活をしていました。
劇中では「地球人とは文化が違いから感覚があわない一面もある」と言われていますが、そんなに大袈裟なものではなく、空気が読めず会話が通じないただの発達障害ADHDであると思われます。
当初は記憶をなくしいましたが、ベガ星の侵略の手が地球におよび、フリード星での記憶を取り戻しました。
もともとフリード星国王がベガ星と平和条約を締結していたのですが、裏切られてフリード星は侵略を許し滅んでしまいました。
王の失政と、王子でありながらグレンダイザーに乗って一人だけ地球に亡命したことから、フリード星国民からは裏切り者扱いされています。
またベガ星人が他の惑星を侵略するときに兵器として使う円盤獣には、それまで侵略した星の人間の脳が移植される仕様なのです。
そして地球侵略用円盤獣にはフリード星の人間の脳が使われていたのです。
これがショックでうつ状態になってしまうデュークフリード。
こうしてデュークフリードはどんどん人格が歪んでいきます。
父親がわりだった宇門博士
地球ではデュークフリードの父親がわりとして、宇門博士に育てられました。
宇門博士一研究所の所長という立場でありながら、ベガ星の侵略に対して地球全体の安全保障と防衛を考えている人です。
ん?
一研究所の所長が人類全体の安全保障を考える?
政治家でもない学者にそんな権限あたえていいのか?
そもそもこの宇門博士、前作の弓博士や兜博士とは全然違う、かなりのクズ野郎です。
たとえば兜甲児が命令違反で出撃して敵に捕まった際(そもそも宇門博士が兜甲児に命令する立場ではないが)「自業自得」といって見捨てようとしました。
仲間の命よりもグレンダイザーを優先します。
こんな人の下で戦いたくねえわーーー
またもともと戦闘を好まないデュークフリードに催眠術をかけて、戦闘員になるように洗脳しようとしたりしています。
物語のわりと最初の方で、両者の信頼関係は完全に破綻した。
以降、信頼関係が完全に修復する描写は特にありません(表面的には和解してるように見えるが)。
さらにこのあとデュークフリード(大介)は地球人全体からも、異星人のスパイ疑惑をかけられます。
この時デュークフリード(大介)は、身の潔白を証明するため敵基地にむかって出撃するのですが
なんと!宇門博士は大介のことを疑ってます
「やっぱりおまえは(敵だったのか)」
いやいやいやいやいや💦
地球人全てがデュークフリードを敵のスパイだと思っても、あなただけは信じないとあかんでしょう。
とても正義側の博士とは思えないクズっぷりです。
兜甲児はふつうにデュークフリードを信じてますがね。
さすが兜甲児だぜ!
しかしそんな兜甲児のこともデュークフリードは信用できなくなっているのです。
もうどうなってるんだ、この人たち。
もう信頼関係グチャグチャやん
こんなので地球の平和は守れるのか?
【敵側】ベガ星軍団
ベガ大王はじめクズばかり
もともとベガ星人が地球侵略にのりだしたのは、母星であるベガ星が放射能汚染により、あと数年しか星としての寿命がなく、その移住先を探していたからです。
そういいながらもう一方で宇宙全てを支配しようとしていたりしています。目的がブレブレです。
移住先を探してまずはそこに腰を落ち着け、そのあと勢力を伸ばすようにすればいいのに。
ちょっと順番が逆のような。
そんな敵のベガ星なので、主人公側に負けず劣らずクズぞろいで、お互いの信頼関係とか微塵もありません。
まずは親玉ラスボスでもあるベガ大王。
悪の王らしい外道っぷりです。
地球侵略の部下ガンダルには日常的にパワハラな恫喝。
部下のやる気を削ぐ上司の見本みたいです。
そして母星であるベガ星がいよいよ爆発するとなると、国民を見捨て自分だけが脱出します。
清々しいまでの外道っぷりです
もともと母星ベガ星が破滅したのも、公害や放射能汚染といった王の環境政策の失敗からなのに。
王族が政治に口出しするとろくなことがないのは地球もベガ星も同じですね。
月基地最高司令官ガンダルと、その部下ブラッキー
そしてその大王に仕えるNo.2ともいうべき、月基地最高司令官ガンダル。
ベガ大王にパワハラを受け、大変機嫌が悪くなると、今度は部下にパワハラです。
これもう周りはたまったもんじゃありません。
パワハラの連鎖。
職場の雰囲気最悪です。
そしていちばんその被害を受けるのは中間管理職ともいうべきブラッキー。
もちろんブラッキーもおもしろくない。
どんどん不満が溜まっていきます。
そしてグレンダイザーを追い詰めて最終段階になると
いるねえ、こういう人。
こうしてグレンダイザーをギリギリまで追い詰めたのですが、最後の最後で作戦は失敗してしまいます。
するとガンダルはその責任をブラッキーに押し付けようとします。
なんかもう典型的ブラック上司です。
そしてとうとうブラッキーがブチ切れてしまいます。
まるで松の廊下じゃないか
しかし忠臣蔵の物語同様にブラッキーは本懐を遂げることはできず、逆にガンダルに殺されてしまうのですが。
職場がブラックすぎるとこういう事件が起こるのです。
インテリ幹部、ズリル科学長官
ブラッキーが死んだあと、ムーン基地にあらたに新幹部としてズリル科学長官が派遣されます。
このズリル長官、武闘派ガンダルとは真逆のインテリ科学者です。
ブラッキーはガンダルの部下でしたが、このズリル長官はガンダルとは同格の役職です。
わかりやすくいうと、かつてのあしゅら男爵とブロッケン伯爵か。
いやいや、これは地獄大使と死神博士みたいな関係だなw
地球を滅ぼすのではなく、できるだけきれいなまま支配・征服したいと考えています。
変に武力を行使するより、植民地化した方が統治しやすいですしね。
まあこのガンダルとズリルも足の引っ張り合いで、結局は失敗するんですけど。
この辺はあしゅら男爵とブロッケン伯爵みたいだ。
もっと互いに協力しあえばグレンダイザー1機ぐらい簡単に倒せるのになあw
そしてこのズリル長官、ベガ大王に盲目に忠誠を誓っているかというと実はそうでもないのです。
ベガ星が放射能汚染されたのはベガ大王のせいだと思っています。
インテリらしく環境問題に配慮してる人です。
そのズリルが破壊者とまでいうダントス長官とは……
母星がなくなり月にやってきたベガ大王とダントス長官
ベガ星が爆発したあと、ベガ大王とともにやってきたのがダントス長官。
ズリルが破壊者と呼ぶだけあって、見た目から武闘派中の武闘派みたいな感じです。
ガンダルが普通の人に見えますよ。
あとから来て二人の上官になってしまい、おもしろかろうはずがない。
そうなるともう桜多版ではお馴染みの暗殺劇。
ダントスは1話で退場です。
しかしベガ大王の地球侵略はここからです。
第三次世界大戦をおこし、地球人どうしで人類を滅亡させようとします
この作戦にズリルは猛反対
ただのイエスマンではなく、上司にもはっきりと意見を言うズリル長官。
そもそもベガ星はこういう環境破壊と放射能汚染で滅んだのに、またしても同じ過ちをくりかえすのです。
そしてとうとうズリルはベガ大王に対し反乱を起こします。
桜多版では何度も見てきた、仲間割れと裏切り。
いや、これはもう謀反です。
こうしてズリル長官が新しい王の座に着きます。
新しい王になってもあくまで地球を綺麗なまま手に入れようとするズリル長官。
意外といいやつです、ズリル長官。
地球側についてくれればいいのにと思ったりもします。
核戦争を止めようとしますが、起こってしまった戦争はもう止まらなかった。
世界中がミサイルを撃ち合い、地球は……そして人類は……
ネタバレになるのでここまでで。
桜多版マジンガーシリーズの締めくくりにふさわしいラストが待っています、とだけ。
それではこの物語はここまでで。マタンキ