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日本政府、自衛隊、警察、マスコミ、そして国民。日本中全てが主人公の敵
剣哲也と炎ジュン、妬みとひがみで歪んだ主人公たち
承認欲求の強い主人公
剣哲也と炎ジュン、二人とも孤児で兜剣造博士にひきとられ、子どもの頃からパイロットになるように育てられた。
親がわりとはいえ、哲也たちは自分の存在意義を兜博士に認めてもらうには優秀なパイロットになるしかなかった。
そうして育った哲也は戦闘のプロフェッショナルで、一人前のパイロットになった今も自衛隊の演習訓練に特別参加している。
戦いに関してはかなりシビアで、たいへん非情でもある。
敵であればそれがたとえ女性であっても全く容赦しない。

このあとこの女をヘッドショット!(至近距離からのマグナムで顔面を吹っ飛ばす)
命乞いするゴーゴン大公をグレートで踏み潰したりと

敵に対してなかなか容赦ありません。
敵を倒すためなら手段や方法は選ばない。

こんなももう子ども向けヒーローアニメの主人公のセリフじゃないです
兜甲児に対する嫉妬心
前作マジンガーZの主人公であり、兜剣造博士の息子でもある兜甲児にはライバル心とか嫉妬心をとおりすぎて、もはや敵意すら抱いています。
「自分は孤児であり、本当の家族の愛を知らない」「いくら親がわりと口では言っても兜博士とは他人」と公言。



これらの気持ちが仇となり、結果として最終決戦では兜博士を死なせてしまうのです。
そしてそれを悔いた哲也もまた……
黒人とのハーフの孤児だった炎ジュン
ジュンもまた哲也同様、孤児で兜博士に引き取られ、ビューナスエースのパイロットとして育てられました。
ジュンは黒人とのハーフで肌の色が黒いことにコンプレックスを持っています。


思春期にはグレて不良グループに入っていた時期もある

そして最後は戦闘放棄

おーーーーい
この人たちがこの漫画のヒーロー&ヒロインですから
そんなジュンを励まし立ち直らせたのは、むかしの不良グループの仲間たち

何気ない一コマですが、この昔のヤンキー仲間のセリフ。
「立派に国の役に立ってるやつ」
あ、科学要塞研究所って政府公認の機関だったのか?
好き勝手やってるのでてっきり民間の一研究所だと思ってましたw
こうしてジュンは立ち直ってまたビューナスエースのパイロットとして戦うことになるのでした。
日本の軍事ビジネスとグレート

ストーリーも単純な勧善懲悪ではありませんでした。
日本を代表する大企業、新住日重工。
その企業が科学要塞研究所の職員を買収しグレートの設計図を入手します。
そしてグレートを大量生産して外国に兵器として売る話です。

見ただけで悪人とわかるのは新住日重工の社長。
こうして作られた試作機を外国のバイヤーたちにプレゼン。
本物のグレートに模擬戦をしかけ、なんと新住日重工の試作機が本物に勝ってしまう。

そして新住日重工はグレートの大量生産にかかるのです。

グレートのような強力なロボットを大量生産されればどうなるか?
それをやめてもらうよう説得する兜博士。

しかし新住日重工の社長はそんな話に耳を貸さない。
新住日重工はグレートを量産、それを外国に順次販売するんだと。
そしてそこにミケーネ帝国から購入のオファー。
普段から「戦争に勝つには物量が全て」と言い切ってるゴーゴン大公が前金10億ドルをもって交渉にやってきます。

ゴーゴン大公「前金で10億ドルある。グレートマジンガー、全て我々が買おう」
新住日重工社長「何者であろうとお客様にかわりはない。売りましょう!」

下半身が虎の怪物でも金さえ払えばお客様。普通に商談に応じる社長。
悪人同士話が合った!
しかしミケーネ側も力で強奪とかじゃないんですね。
ちゃんと前金で代金を払うところが律儀です。
部下「社長いいんですか」
社長「買い主がどう使おうと我らには関係ないこと。両方が戦ってボロボロになったら、また作って売る」
なるほど!
戦争が起これば兵器産業はもちろん、景気が良くなるということか。

ミケーネなんかよりこの社長の方がずっと悪人ですな。
でもこうでなきゃ会社は大きくならないし、出世もできません(大人の世界の真理)
こんな死の商人のような真似はやめてとくださいと、かわいい娘に頼まれても

娘の説得にも信念を曲げない社長。
全くぶれない!
それどころかこのあと「青くさいことをいうな」と娘に説教までします。
さらに社長、量産グレートをつぎは日本政府にも売ろうと考えていたのです。

おっ、これは!?
なんかただの悪人と思ってましたが、売国奴というわけではないようです。
日本がグレートのような超兵器を大量に保持すればミケーネ侵略への抑止力になります。
しかもそれが国内生産となればなおさら。
これはこれでなかなか良い案ではないでしょうか(←ダメです)
アメリカ頼みの日米安保なんかより、自国で超兵器を開発し持つことの方が確実で強力な安全保障といえますよ(←こらこら)
あ、この漫画は小学生向けの漫画雑誌、冒険王での連載です。
ネタバレすると結局この戦いは自動操縦で動いていた量産グレートは本家グレートと同期(シンクロ)して仲間になり、ミケーネの戦闘獣軍団をやっつけます。
その後量産グレートたちはどうなったかというと、本体の予備機として、あるいは補修用の部品取りにストックしておく……わけじゃなく
兜博士「グレートはあまりにも強力すぎる。強力すぎる武器は人々を狂わせる」

そういって兜博士は量産グレートを海に沈めてしまいました。
果たしてこれでよかったのか?
いやいやいやいやいや
これ第二第三の剣鉄也を養成してグレート軍団を結成しましょうよ、博士。
そして防衛庁(当時)にかけあってグレートチームを政府公認の部隊にするべきだったのです。
絶対そうすべきだったのですが、それはこの次の章でわかります。
日米安保と自衛隊だけで日本の安全保障は大丈夫か?
日本政府、自衛隊、警察、マスコミ、そして国民。日本中全てが敵に!
前作桜田吾作版マジンガーZでは欺瞞と裏切りが横行してましたが、それは敵側ドクターヘル軍団の話でした。
グレートマジンガー編では、主人公たちが日本政府に裏切られ、さらには国民にまで見捨てられるという酷い物語になっています。
敵側ミケーネの大幹部に、ドクターヘルが戦闘獣・地獄大元帥となって復活したのです。

地獄大元帥は戦闘獣によってグレートのいない地方都市を壊滅させる。
日本政府相手に「次は東京だ」「だが一つだけ条件を飲めば日本への攻撃はない」と交渉を持ちかけたのです。
その条件とは科学要塞研究所とグレートマジンガーの破棄。

それさえ実行してもらえば日本と国民の安全は保障するという。
普通に考えてこんなやつらが約束を守るはずがないし、日本人だってそこまで馬鹿じゃない。
グレートが無くなればどうなるかなんて普通の判断力があればわかるだろう笑
ところが!

うわあああああ
日本中がパニックになり、世論はグレート破壊に動いたのです。
そして愚かにも日本政府もミケーネの条件を飲んでしまうのです。

えええええええええ
こうして科学要塞研究所とグレートたちは日本から見捨てられ、賊として討たれることになるのです。

そりゃあそうなりますわな、兜博士。
1台のグレートと、数十体の戦闘獣。
戦えばどちらが強いかは一目瞭然。
だからあのとき量産グレートを海に沈めなければ日本政府も別の交渉ができたのに!

武器がないと敵との交渉なんてできない。
理想じゃ平和は守れないんですよ!

こうしてグレートと自衛隊が交戦状態に入ります。

自衛隊もグレートには敵わない。
殺し合うグレートと自衛隊。
しかし物量で勝る自衛隊が徐々に優勢に。
兜博士「同じ日本人同士なんだぞ……」

なんとも悲しい、兜博士の言葉です。
しかし数で圧倒する自衛隊に、ついに科学要塞研究所は陥落してしまいます。

兜博士以下、哲也たちはかろうじて生き延びたものの反乱軍としてお尋ね者になってしまいました。
ミケーネが日本に侵攻。たよりのアメリカ軍は……
そしてこの戦いの後にミケーネが約束を守ったかというと、もちろんそんなことがあるわけもなく。

ああなんと馬鹿な政府よ、愚かな国民よ。
しかし日本とアメリカの間には日米安保条約があるのだ。
在日米軍が日本のために戦ってくれる!はず
しかしミケーネの読みは

だった。
そしてその読み通りアメリカは早々に日本から撤退してしまった。

頼りの米軍からもあっさり見捨てられる日本。

この辺なかなかリアルです。
やっぱり自分たちの国は自前の武力で守らないとダメなんですよ
そして国民たちはグレートを捨てたことを後悔するのですが、政府が反省してるシーンは出てきません!(やっぱりね)
そして反乱軍のレッテルを貼られたグレートチームたちはどうなってるかというと……
科学要塞研究所が破壊されて住処がなくなった彼らは、無人島でロビンソンクルーソーのような生活をし、

ときには再起のための物資調達といって強盗団になっていました

めちゃ楽しそう。もうどうなるんだよ、この漫画w
なかなか壮絶なラストが待っているのが桜田吾作版グレートマジンガーです。
最後はどうなるか、ネタバレになるので書きませんが。
さらにそのあと最終章グレンダイザー編にも続くわけです。
それでは今日はこの辺で。マタンキ