ジャンプで夏休みに短期連載されたトラウマ漫画
何がトラウマって絵が怖いストーリーが怖い
ども。MK団2代目団長マタンキ角南です。
コロナ騒ぎでずっと自宅に篭城してましたが、終息宣言が出た途端日本列島は夏に突入しました。
まだ6月なのに冷房を入れないと熱中症になりそうです。
さて私が毎年夏になると思い出す漫画がジョージ秋山の「灰になる少年」です。
今から40年以上昔に少年ジャンプで夏休み中に10週の短期集中連載していたホラー作品です。
最初から10週完結の予定で、けっして10週打ち切りではありませんw
夏休みに読んだこの漫画が怖くて怖くて。
心臓バクバクしながら一人部屋の隅っこでうずくまりながら読んでいました。
この漫画がトラウマになっていて、特に最終回1話前の最後のコマで首を切り落とされた父親の姿が今も脳裏に焼き付いて離れません。
以下ネタバレを含みます。
主人公ウシオ少年の周りで起こる怪奇殺人事件
ウシオ少年(主人公)の周りで、首が切り落とされ、さらに血が吸い取られているという猟奇殺人事件が次々と起こった。
犯人は一体誰なのか?
自分のすぐ近くにいそうな気がする……
普段は温厚で優しい父親が、時々恐ろしい表情で自分の母親を睨みつけていることを知る。
ウシオは自分の父親が猟奇殺人の犯人ではないかと疑うようになる。
最初は半信半疑だったが、徐々にその疑いが濃厚になっていく。
さらに犯人は奇怪なミイラのような化け物だったことがわかった。
もしやその化け物の正体が父親なのか?
ウシオは父が次の殺すのは自分と母親にちがいないと思いはじめた。
そしてとうとう入院している母親を殺そうとしてる現場に遭遇してしまう。
ウシオは一旦父親から逃げたが、母親を助けに病院へ戻ることにする。
するとそこにはウシオが予想していない恐ろしいことが起こっていた。
猟奇殺人の結末は今でもトラウマ
そこには母親ではなく、首を切り落とされた父親が立っていたのだ。
(これが最終回1話前のラストのコマでめちゃトラウマ。この絵は怖いので紹介できない)
父親は首を切り落とされた状態で、ウシオに手紙を渡した。
手紙に書かれたいた真実は 母親こそが吸血殺人鬼で、父親はそれを止めようとしていた のだった。
それこそ自分の妻を殺しても……
母親は自分では血を作れない難病で、定期的に輸血をしないと体に血液がなくなり、ミイラのように萎びていく。
それが殺人鬼吸血ミイラの正体だった。
だが血を飲むと元の姿に戻る。
母親は自分が血を飲むために無意識のうちに猟奇殺人を続けていたのだった。
だがこれ以上母親に人殺しを続けさせるわけにはいかない。
父親は殺人を止めるために母親を殺そうとしたが、逆に首を切られ殺されてしまったのだった。
ウシオは父親の遺言に従い、眠っている母親を殺すことにした。
吸血鬼ドラキュラを殺すように心臓に杭を打ち込むと、母親は灰になって消えてしまった。
だが物語はそれだけでは終わらない。
ウシオ少年も母親と同じ血液を作れない病気の持ち主だった。
怪我をして大量出血したウシオは母親と同じように体がミイラのようにしなびていき、血を吸うために人を襲っていった。
ウシオは事件を追っていた刑事に銃で撃たれ、やがて身体中の血がなくなり灰となって消えてしまった。
「灰になる少年」もう一つのテーマ
当時の水俣病問題にも言及した漫画
最後は灰になってしまったウシオ少年。
そのあまりの悲しいラストに今もトラウマです。
しかし実はこの漫画はホラーだけでなく、もう一つ別のテーマがありました。
それが当時の水俣公害問題です。
父親は水俣公害の原因となった会社の社長さんで、被害者の人たちから恨まれていました。
そんな事情を知らないウシオ少年に、見知らぬ男がちょっかいを出します。
この男の仕業かどうかはわかりませんが(私は違うと思っています)、少年の家では次々と嫌がらせが起こります。
自宅に石や奇形の魚が投げ込まれたりします。
こんな酷いことをされても、なぜかパパもママも警察に通報しようとはしない……
パパもママも警察には言えない事情があるのか?
あの男は何者なんだ!?
疑心暗鬼に駆られるウシオ少年。
そしてあの男が再びウシオ少年の前に現れる。
顔に傷があってちょっとガラの悪そうな感じですが、これは作者のフェイク。
実はこの男は被害者家族の一人だったのです。
当時子どもだった私はすっかり騙されてしまい、この男が猟奇殺人の関係者かなにかだと思ってしまいました。
そして家族旅行先でも被害者の人たちから「おまえの親父は人殺しだ」と詰め寄られ、それを見てしまったウシオ少年はますます「父親が猟奇殺人の犯人」と勘違いしてしまいます。
水俣公害問題で多くの人から恨まれていたパパ。
例の男に連れられ、ウシオ少年は真相を知る。
当時は公害が大きな社会問題だった時代でもありました。
水俣公害問題が起こったのは1956年(昭和31年)。
令和になった今もこの水俣公害被害に苦しんでいる人たちもいます。
産業の発展と引き換えにものすごい被害が起こっていたのです。
しかし悲しいかな公害や薬害の被害者の痛みや苦しみというのは、当事者以外にはなかなか伝わらないものです。
50年前にジョージ秋山先生が描かれた「灰になる少年」。
このブログで、今なお苦しまれている被害者の方々の深刻さを伝えられたら幸いです。
それでは今日はこの辺で。マタンキ